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シンポジウム国内・海外のデジタル教科書・教材関連のニュース・ 記事をご紹介いたします。

2015年05月25日開催

DiTTシンポジウム「未来の教科書をみんなで考えよう!」

  

■日時:2015年5月25日(月)13:30~15:00 

■会場:慶應義塾大学三田キャンパス東館6F G-SEC
http://www.keio.ac.jp/ja/access/mita.html

パネルディスカッション:
遠藤利明  衆議院議員
川瀬徹   東京書籍株式会社 ICT事業本部第一営業部長
菊池尚人  慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特任准教授
黒川弘一  光村図書出版株式会社 専務取締役編集本部長
中村伊知哉  DiTT事務局長、慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授
石戸奈々子  DiTT理事、NPO法人CANVAS理事長
*敬称略




シンポジウム冒頭で夏野剛氏はビデオメッセージを通して、遅れている日本の社会システムや法システムのIT化改革を進めてどんどん日本を強くしていこう、と呼びかけた。
それに対しDiTTの中村伊知哉事務局長は、5年前のDiTTから「1人1台のデジタル教科書整備を」と訴え目標にしてきたこと。2012年にデジタル教科書を正規の教科書にする検定制度や著作権制度などの改善を求めてきたこと。そしてやっと、国家が本年度中にデジタル教科書の課題の整理を行って2016年度までに結論付けることを決めたところまで、約3年かかったことを解説した。このお陰でマスコミも取り上げ始め注目が集まっている。今から前に進まねばならない。その上で「ハード」「ソフト」「人」「金」「枠」が重点になると語った。
今回の議論の焦点は以下の5点。「デジタル教科書のための法改正」「コスト問題」「検定審査について」「著作権問題」「配信や流通サービス」についてであった。まず「法改正」について、教科書は「図書」と認定され、デジタル教科書は法的に認められていないことが問題になった。また、衆議院議員の遠藤利明氏は法改正をするにあたって、国会ではグローバル人材の育成の中でICTでの必要性、子供の成長に影響に関する議論が起こって話が進まないこと。そして勉強会を開くも推進派でもほとんど来ない現状を語った。
2点目の「コスト問題」については、現在ある教科書予算は400億円(紙の教科書・1冊157円程度を主に考えて構成されている)だが、今後は教科書だけの予算の他に様々な予算が必要となると、光村図書出版の黒川弘一氏は語る。また「2020年まで完全デジタルにする」「紙とデジタルの併用もしくは選べる」「紙だけにする」の3方法の中から決めることを勧めた。
3点目の「検定審査の問題」については、著作権処理の話が絡んでくるという。動画や音声を無論、デジタル教科書は必要とするが、これらリンク先の検定審査をどうするのか。これについて東京書籍の川瀬徹氏は韓国の例を挙げ、リンク先までは検定できないとした。
4点目の「著作権問題」について、黒川氏は、著作権料は決まらないとした上でどういう基準で作れば良いのか、ルールを作るべきでデジタルにも紙のルールを応用していくべきだと回答した。最後に配信や流通サービスについてだが、クラウドサービスを使うと莫大な予算がかかる上、著作権が非常に厳しいことを黒川氏が指摘した。それに対し、菊池氏は映像を製作するのはコストに反映しないような形が取れればベストとし、権利者の理解が必要と語り、その後も議論は白熱した。
最後に、紙かデータ化ではなく、ここまできたらスピードを上げて国策で取り組み、せめて効果が出ている特別支援教育でだけでも早く実行に移してほしいとし、ディスカッションを締めくくった。

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