2016年03月17日開催
第68回 DiTT勉強会のご報告-赤堀侃司氏-
2016年3月17日、赤坂シュビアにて、第68回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催致しました。今回は赤堀侃司氏(日本教育情報化振興会会長、ICTconnect21会長)にご登壇頂きました。赤堀侃司氏には「デジタルは教育を変えるか」というテーマで、お話し頂きました。
以下は、発言要旨となります。
-赤堀 侃司氏 ご講演要旨-
赤堀氏には、これからの社会の変化に対して求められる力を育成するため、学校やICT環境がどのような役割を果たすかいうことを中心にご講演いただいた。
世界と比較しても日本の学校はきめ細かく、基礎知識を身に付けるための指導レベルが高いと評価されている。しかし、発展教育に対してはまだ課題であり、これからは人間の思考力・判断力が求められる仕事が重視されるのではないかと考え、デジタル技術で補っていくことができないのかと思っている。
いま子どもたちは自身でネットの情報にアクセスすることができる。春日学園小学校では脳科学の学術論文が国語の授業に使われている。タブレットを使い、調べたデータをもとに生徒が議論する。教師の役割は変わり、授業はデジタルコンテンツにアクセスし、生徒が調べるスタイルにシフトしている。
教育システムにも変化が起こる。現在の教育は学年の発達段階に応じて基礎基本を身に付けさせるカリキュラムであるが、大事なのは「学んだことで何ができるようになるか」ということではないか。模擬授業ワークショップに参加した際、課題に対して自分の知識を掘り起こしながら議論する経験をした。これからは基本知識は個人で身に付け、その上で応用学習に取り組むことが大事なのではないか。鴻巣女子高校での反転学習実験では、教師が授業前にミシンの使い方の動画をアップロードし、生徒はそれを見てから授業に参加し、授業中にはもう一度動画確認しながら課題に取り組む様子があった。
学校と社会の連携も重要である。学校では個人で取り組むことが多いが、社会に出ると協働作業が中心になる。そこで学校にいながら現実社会とつながることが大事だと考え、墨田区第一寺島小学校では家からチラシを持ってきて生産地を調べる授業が見られた。
今の日本の教育の質は高く立派だが、それだけでは足りない。日本の教育の良さを守りながら発展させていくことが重要。そのためにICTを活用できるよう、環境整備に努めたい。