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勉強会デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、有識者による勉強会を毎月開催しています。開催内容を一部ご紹介します。

2015年11月26日開催 

第64回 DiTT勉強会のご報告-阪上吉宏氏・古泉学氏-

2015年11月19日、山王健保会館2階会議室にて、第64回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催致しました。今回は坂上吉宏氏(株式会社エデュテクノロジー 代表取締役)と、古泉学氏(ソフトバンクコマース&サービス株式会社 ICT事業本部 MD本部 エデュケーションICT推進室 室長)にご登壇頂きました。坂上吉宏氏には、「1to1の導入を成功に導くために〜日本と世界を比べて〜」というテーマで、古泉学氏には「iPad導入の最前線から見た教育ICTの未来と課題解決」というテーマでお話し頂きました。  
以下は、発言要旨となります。

-阪上 吉宏氏 ご講演要旨-

株式会社エデュテクノロジーは学校のICT機器の導入コンサルティング及び研修会等の設営・立案・運営を行っている。今回は、世界的なICT教育の動向や仕組みから学べる点について重きを置き、日本の学校教育にタブレットを生徒一人一台(以下:1to1)導入していくためにはどのようにすれば成功するかという内容でご講演して頂いた。
まず始めに現在直面しているタブレットの導入のきっかけとして近年のテクノロジーの普及が一つの転換期となった、と国内におけるタブレットの動向を述べられた。その上でタブレットの世界的な販売数の低迷も取り上げ、それらに変わる最新技術とその教育における実用性を考察されながら、新しい産業が出てくる中どのような形でサービスを展開していくかに注目するべきであると述べられた。
これらの内容を踏まえた上、1to1の導入を成功に導くための鍵となる「組織と人材」「必要な要素」という二つの見解をご説明頂いた。まず始めに「組織と人材」では、海外を例にどのような組織、人材が備わっているのかを三つの観点1.「ビジョンとリーダーシップ」、2.「カリキュラム・コーディネーター」、3.「ICT責任者、テクノロジー・コーディネーター」からご紹介頂いた。これらはどれも欠けてはいけない要素であり、特に日本では「ビジョンとリーダーシップ」の要素が最も欠けていると指摘された。これらの三つの観点を備えることによって1to1導入の成功を導けるとし、またそれらを現在の学校形態にどう落とし込めるかを併せてご説明頂いた。
次に「必要な要素」ではⅠ.「基幹となるインターネット回線」Ⅱ.「適切な教員研修」Ⅲ.「中長期的な展開計画」という三つを1to1導入成功として欠かせない要素として提示し、その中で「適切な教員研修」が日本にとって欠けている要素だと指摘された。このように1to1導入成功の鍵を、海外を例に見解された上この政策がビジネス面としてこの先どの程度利益を得られるか、またどこかで転換期が訪れた際に今のビジネスをどう変え、サービスをどうマネタイズしていくかが一つの重要なポイントとなると述べられた。
 

-古泉 学氏 ご講演要旨-

株式会社ソフトバンクコマース&サービスは、iPadを中心とした学校や塾向けICTコンサルティングサービスを展開し、今年9月からWindowsを基盤としたコンサルティングサービスも提供。利用者の要望を聞き、そのうえでICT技術を実装していくという点では教育分野では先端的な取り組みをしている。講演では会社として教育ICTをどのように考えているのか、実際の導入例を交えてご講演いただいた。
近年、学校のパソコン室が使われなくなったために普通教室でのICTを利用した学びが推奨されていると思われがちだが、実際は学校現場の需要に変化が起きているからである。国の教育政策では、センター試験の刷新や21世紀型スキルの取得、グローバル人材育成など様々なことが求められている。教育ICT事業を行う企業には、このような政策に対してどのような製品が必要かと考える傾向があるが、ここで順番を踏み外してはいけない。
学校や自治体は教育に対して独自の目標を立てていることが多いため、企業はこの目的を実現するために何が必要なのかを考えなければならない。例えば成績を上げるためにタブレットを使用したい学校もあれば、アクティブに授業に参加してもらうため利用したいという学校もある。まずは学校や自治体が教育に対してどのような目的を持っているのか、そこからしっかりと理解することが重要。チームでは導入、運用、研修までワンストップで行っている。ある学校ではタブレットを20台導入したが、ネットワーク環境により多くのタブレットを一度に使用できないことやOSアップデートができないという例もあった。
会社として国内iPadシェアナンバーワンを達成している理由は、ユーザー目線に立つということを基盤にしているからだと考えている。自治体への理解が難しい面もあるが、「学校や自治体がどのような教育を行いたいか、そのためにどのようにICTを使用するか」ということは常に考えていかなければならない。
 


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