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勉強会デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、有識者による勉強会を毎月開催しています。開催内容を一部ご紹介します。

2014年10月09日開催 

第51回 DiTT勉強会のご報告-清水雅之氏・日野公三氏-

2014年10月9日、慶應義塾大学三田キャンパス東館8階ホールにて、第51回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。今回は清水 雅之氏(上越教育大学学校教育実践研究センター 特任准教授)と、日野 公三氏(明蓬館高等学校 校長/アットマーク国際高等学校 理事長)にご登壇頂きました。清水 雅之氏には、「ICT活用による表現~FS実証校の取組から」というテーマで、日野 公三氏には「すべてはインディペンデントラーナーをはぐくむためにーeラーニング、もう一つの視点―」というテーマでお話を頂きました。  
以下は、発言要旨となります。

-清水 雅之氏 ご講演要旨-


新潟の教員を10年、上越教育大学附属小の教員6年を経て、現職(上越教育大学)に派遣され、現在教育実習生の事前教育を中心に担当している。
まず、実際に授業で使っている教材を紹介し、ICTを利用する第1歩となる小学校でのICT活用授業についてお話いただいた。
小学校の授業では、児童生徒が自分の思いや願い、感じたことを表現し、さまざまな相手と交流をすること、そして、新たな考えや価値に気づいていく事を大切にしたいと考えている。
具体的な例として、6年の総合教科学習について紹介。
次に、FS実践校の取組みについて3つの事例を紹介。
一つ目は、「児童生徒の学習プロセスの視覚化」によって、小学校1・2年の複式学級での間接指導の際に、ICTを利用することで学習効果があった事例と中学の理科の授業で実験の様子をビデオで撮影することで映像から適切に情報を引き出す力を養うことができた事例を紹介。
2つ目は、「児童生徒が学習全体やグループの様子を具体的に見ながら学習」によってかるたづくりで作業の視覚化による協働の促進、個人作業の充実をはかることができた事例などを紹介。
3つ目は、「見られることが当たり前の環境へ」によって、児童生徒が使用している端末の画面を巡回表示することで、徐々に見られることに慣れ、さらに互いに評価し、教えあう機会が増え、また議論を通して、さまざまな価値観があることを知ることで民主的に物事を考える意識を育てることができるようになった事例を紹介いただいた。
ICT教育を取り入れることで、子どもたちには積極的に表現する力を身につけてもらいたいと考えている。  

-日野 公三氏 ご講演要旨-

株式会社で高等学校を経営して15年目になる、現在グループで3つの通信制の高等学校を経営している。
「すべてはインディペンデントラーナーをはぐくむために」は社訓に近い。インディペンデントラーナーとは、精神的に経済的に自立する学習者を育てていこうということで創業時に定めた。そこで、シリアスなニーズを持つ生徒と家族に役立つeラーニングとコーチング(教育スキル)で自立に向けたインディペンデントラーナーを育てていこうという考えだ。
eラーニングの本質には3つの要素がある①教材コンテンツ②テクノロジー③ヒューマンスキルである、そこで一番大事なのは教員スキルである。
1999年の創業当時、21世紀の教育にもっとも求められるのは教育のパーソナライゼーション(個別対応化)になるのではないかと考えた。また集団生活が望ましい生徒も大半いるが、そうではない生徒にを時間と場所から解放された学びを提供する、家庭と地域とインターネットの教育力を活用した学習環境で教育サービスを是非行いたいと考えてきた。
明蓬館高校では、発達障害を起因とする不登校生、学習環境に恵まれない就学困難な生徒、海外留学、帰国子女等の生徒が在籍している。基本、インターネットを活用した通信教育で、Web上で指導する。
eラーニングが成果を生むためには、生徒管理システムと連動して、先生たちの業務をシステム化することにより楽にして、生徒に多くの時間があてられるようにする必要があるしている。先生たちをeラーニングを進んで推進する立役者にすればうまくいく。
現在、重度自閉症でありながら作家活動をしている東田直樹さんも卒業生の一人である。「自閉症のぼくが跳びはねる理由」という著書が、世界20か国で翻訳出版され、100万部に達しようとしている。
障がいと見ないで特性と見て、ICTツールを活用し、心理支援と発達支援をすることにより、才能の開花が起こる事例が増えてきた。
発達障害傾向の生徒が増えるなか特別な教育ニーズを持つ生徒への特別な支援を望む声が増えている。生徒の持つ障害特性、認知特性、学習特性にを踏まえた個別指導計画に基づいた支援をするためのSNEC(スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)を品川に開設した。発達障害傾向の生徒が通信制高校を選択してきており、受け身でなく、積極的な受け入れと対応をしている。
今後、障害をスペシャルニーズととらえて、家族と手を携えた支援と伴走を行うSNECを全国に展開していきたい。
 


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