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勉強会デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、有識者による勉強会を毎月開催しています。開催内容を一部ご紹介します。

2011年05月17日開催 

第10回 DiTT勉強会のご報告-石坂 芳実氏・片岡 靖氏-

    2011年5月17日、山王健保会館2階会議室にて、第10回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。第10回目は石坂 芳実様(コンサルタント、DiTTアドバイザー)と片岡 靖様(日本電気(株)文教・科学ソリューション事業部 マネージャー)にご登壇頂きました。
    会員企業の皆様にお越し頂き、石坂 芳実様には「印刷物とソフトウェアのはざまで」、片岡 靖様には「デジタル教科書・教材と教育クラウドの可能性」というテーマでお話を頂きました。
    以下は、発言要旨となります。

     

    -石坂 芳実氏 ご講演要旨-


    印刷物とソフトウェアの融合がどんどん進んでいる。印刷出版文化とソフトウェアの文化は違いがある。百科事典の内容は文化の擦り合わせがあったが、デジタル教科書では印刷物とソフトウェアのうまい擦り合わせが必要で、それがひとつのキーとなる。例えば情報化ビジョンの中にある「デジタル教科書・教材、情報端末に期待される機能の例 学習者用デジタル教科書」を挙げると、音声再生機能、書き込みノート機能、学習履歴の把握分析機能、編集・採点機能などだ。こうした様々な機能をどうやってインプリメントするのか。またある程度共通化された操作方法、ユーザビリティをどのように実現するか。バランスが重要。教科書会社間、教科間、学年間、技術的にどのレイア・レベルに実装するか。韓国の教育の情報化は、コンピュータサイエンスの専門家から始まって、だんだんコンテンツよりの人が合わさっていった。日本は逆。日本の教科書は非常によく出来ている。紙がそれだけ上手く行っているから、デジタルはそれを上回らなくてはいけない。
     日本に小中学生が約1000万人いて、一人一台環境を実現することが目標だから、そのスケールを考えて、メリットを最大限に生かせる仕組みやデザインを今の段階から考えておくべき。


    -片岡 靖氏 ご講演要旨-


    子どもの情報をどのように把握するのか、どう手当していくのかが大切。教育クラウドの可能性をイングランドの事例を例に技術的ではなく、利活用というところに重きをおいてお話ししたい。
     イングランドではインターネット接続や教育サービスを自治体毎に行うクラウド
    サービスが行われている。クラウドサービスはサービス毎に料金が示されており、
    学校や教育委員会は必要に応じてサービスを利用している。これらのサービスは一つのIDで利用できるよう認証連携がされ、利用者の利便性を高めている。
     また、イングランドではナショナルテストや児童生徒情報はイングランドの教育省にて集められ分析し、学校改善に役立つ情報として各学校に公開されている。成績の傾向だけではなく、児童生徒情報やその他の情報を加味したCVA(Contextual Value Added)といった分析を通じ、学校が置かれている状況を分析しRAISEonline(Reporting ana Analysis for Improvement through School Self Evaluation)というオンラインシステムを通じてその学校の状況に応じた対応がとれる情報を提供している。各学校はこの情報を確認し、同様の背景を持つ学校と連携しもしくは参考にすることによって学校の改善を図ることができる。
     さらにイングランドでは、ナショナルテストや児童生徒の情報を匿名化し、外部に公開している。大学や企業は、これらの情報と学校の校務システムと連携することにより新たな分析サービスを提供し、学校改善を支援している。
     デジタル教科書教材が普及する事によって、児童生徒をとりまく情報が増え、分析が行われて行くだろう。情報を活用することにより、教育・指導の改善を図る取り組みが始まっている。エコシステムは官民一体で考えて行く必要がある。教育クラウドWGでは、デジタル教科書教材を中心として大きく広げて行く。あるべき姿を検討し、課題の整理と解決案、第二次提言書作成を行っていく。韓国などの事例も見ながら、日本としてできる事を進めて行くことである。

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