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勉強会デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、有識者による勉強会を毎月開催しています。開催内容を一部ご紹介します。

2011年06月16日開催 

第11回 DiTT勉強会のご報告-今田晃一氏・笹村元康氏-

    2011年6月16日、山王健保会館2階会議室にて、第11回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。第11回目は今田 晃一氏(文教大学教育学部心理教育課程准教授 文教大学越谷情報センター長)と笹村 元康氏(東京書籍(株)ソフトウェア営業部 部長代理)にご登壇頂きました。
     100名を超える幹事・会員企業の方にお越し頂き、今田 晃一様には「タブレット型情報端末(iPad)を用いた授業づくりとその学習理論」、笹村 元康様には「デジタル教科書の未来~指導者用と学習者用」というテーマでお話を頂きました。
    以下は、発言要旨となります。


    -今田 晃一氏 ご講演要旨-


    文部科学省が示した「教育の情報化のビジョン」では、協働学習が求められている。そこでタブレット型情報端末(iPad)を用いた協働学習の授業づくりの可能性について、「でじたま(デジタル教材 in 埼玉)」という研究会(代表:越谷市立大袋中学校大西久雄校長)で進めている事例を紹介していく。多くの研究会では学んだことを実践に繋げる参加者というのは通常1%に満たないと言われているが、「でじたま」参加者は、必ず授業で一回は使ってみようとする高い意識がある。5月の「でじたま」では早速iPad2を活用した。iPad2によって行えるようになった、iPad画面のHDMIケーブルによる大型TVへの投射、iPad内臓カメラによる静止画・動画撮影の機能は、実際の授業における「焦点化と共有」にさらに有用である。「でじたま」の実践では必ずiPadを3人~4人によるグループ学習にこだわっている。これはコンピュータ支援による協同教育(CSCL:Computer Supported Collaborative Learning)を学習の理論的な背景としている。iPadを用いた授業の目的としては、①知識・理解の定着、②技能習得、学び方の補完、③イメージの拡充、④相互啓発の4つを設定しており、特に必然性のある「相互啓発」に留意している。iPadは、協働学習、教育のデジタル化に先生方が馴染んでもらうツール、そのとっかかりとして非常に良いものであるということを最後にもう一度お伝えして、終わりにしたい。


     

    -笹村 元康氏 ご講演要旨-


    教科書会社が考えるデジタル教科書の話。文科省の定義では指導者用、学習者用という用途で分かれる。DiTTとしてはソフトだけではなくハードや環境を含んだ広い意味で使っているが、今日の話は主に公立の小中学校で使うソフト面に限定した話である。
     デジタル教科書の現状としては、指導者用を新しい学習指導要領に合わせてどう使うかという段階である。学習指導要領の改訂が行われ、小学校は今年の4月から変化があった。学校や授業の変化としては国語、社会、算数、理科などの授業時数の増加や小学校での外国語活動の新設が目につく。また総則ですべての教科でICTを使う必要がある、と明言されている。これは今後すべての教科においてICTを適切に活用し授業をしていく必要があるという大きな流れの変化である。
     小学校外国語活動での教材として文部科学省が英語ノートと英語ノート「デジタル版」を配布したということも大きな変化である。デジタルTVや電子黒板といった情報機器の普及もスクール・ニューディールによって大きく伸び、普通教室での活用場面も増えている。こうした流れに加え教員のICT活用指導力も大きく求められている。ただ文科省の調査によると約4割の先生が授業での指導にICTを使いこなせていないという現状がある。
    - 新しいデジタル教材の実演(英語、算数の指導者用デジタル教科書の実演)
     デジタル教科書の効果としては、拡大&縮小、動かす、音声を聞くといった機能だけでも生徒に十分に伝わる。授業中に先生が出来ることは限られており、メーカーとして複雑な機能にこだわりすぎず、「わかる授業」をどう実現させるかが大切である。デジタル教科書に対して文科省がどのように動くか。各種事業(学びのイノベーション事業、フューチャースクール)等で実証を開始したばかりであり、指導者用のデジタル教科書もまだ現場に広く普及しているわけではない。また学習者用も効果や課題を検証していくことになる。ここからどう広げるかというところにDiTT等の役割の意味がある。

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