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勉強会デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、有識者による勉強会を毎月開催しています。開催内容を一部ご紹介します。

2012年06月21日開催 

第23回 DiTT勉強会のご報告-片山敏郎氏・猪澤伸悟氏-

2012年6月21日、山王健保会館2階会議室にて、第23回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。今回は片山敏郎氏(日本デジタル教科書学会会長、みんなのデジタル教科書教育研究会発起人)と猪澤伸悟氏(KDDI株式会社新規ビジネス推進本部・戦略推進部副部長)にご登壇頂きました。片山敏郎氏には、「ワクワクするデジタル教科書の実現のために」というテーマで、猪澤伸悟氏には「KDDIの教育ICTへの取組みについて」というテーマでお話を頂きました。
以下は、発言要旨となります。


-片山敏郎氏 ご講演要旨-


日本デジタル教科書学会を5月に設立した。会長を私が務めている。 みんなのデジタル教科書教育研究会を設立したのは2年前の7月であり、草の根の活動を続けてきた。約400人の会員がいるが、これまでFacebook上で意見を交わしたり、リアルな場でのミーティングも実施してきた。「みんな」にとって使いやすいデジタル教科書をつくっていこうとの活動目標のもと取り組んできたが、限界も感じ始めている。理由は二つあり、その一つ目に世論が動かなければ政策がすすめがたいこと、二つ目に学術的な検証がなされなければ世論は動かないことである。既存の学会の現状といえば、デジタル教科書は研究領域の一部にすぎないこと、似たような学会が乱立してエネルギーが分散されていること、様々なしがらみがあることなどが挙げられる。そのため、デジタル教科書に特化した学会をつくりデジタル教科書に関する学術的な研究をしていくのが「日本デジタル教科書学会」の使命であると考える。立場を超えて研究する、研究者と実践者の協働研究を推進する、DiTT含め他の団体と幅広く連携することを学会の大きな3つの柱として活動していく。8月18日に青山学院大学にて設立記念全国大会を開催する。
( 日本デジタル教科書学会ホームページ:(http://js-dt.jp
2年前より現場の空気もわずかに進んだと感じる。なぜなら、英語の授業や陸上記録会で指導者用デジタル教科書を一部の先生は使っていたり、子どもたちの声から親の反応も良くなったりしているからだ。現状、学校にはデジタル化の環境が整っていないので、企業支援があってこそ実践できる。そこから研究成果が検証され、世論向上につなげていきたいと考える。DiTT以外にもデジタル教科書を推進している仲間がいることを今日は伝えたいと思う。


-猪澤伸悟氏 ご講演要旨-


KDDIの取り組みの一つとして、教育分野でも積極的に活動に取り組んでいる。教育のICT化へ向けた政府の取り組みに寄り添いながら、KDDIとしても独自の視点で実証研究を実施できた。2011年度は、①被災地におけるオンライン授業による受験生支援プロジェクト(宮城県石巻市)、②横浜市立白幡小学校におけるタブレット端末によるICT利活用を実施してきた。まず①については、現地団体の「希望の木」、キャスタリア株式会社、学校法人信学会と共同で行った。KDDIとしてはCSR向上、将来のオンライン学習サービス提供に向けた懸案事項の洗い出し、タブレットを活用した遠隔授業の実証実験の3つを目的として、被災地(石巻)における受験生の支援を行った。その結果、受験生からオンライン学習のメリットとして自分のペースで学習を進められた、誰かと一緒に勉強できる感覚でできたといった声が受験生から聞こえた。改善点としては、質問できる仕組みがあるとよい、スロー再生があるとよい、との声がありオンライン学習サービスの懸案事項の洗い出しができたと考える。②において、公教育におけるICT利活用について実証実験を行った。これは、文部科学省の「教育の情報化ビジョン」に基づき、ICTを活用した質の高い教育の実現を目指したもので、MotorollaXOOM100台を導入し、個人の進度に応じて、算数ドリルアプリケーションを実施した。目的としては、効果的な学習ログ取得の検証と、教員や児童のニーズを把握しながらデジタル機器導入に必要な要件を検証することであった。4年生99名を対象にした実証では、児童の学力の応じた問題提示により、回答時間の短縮ならびに反復により学力上昇がみられた。また、児童たちも自分の不得意な部分が分かるようになった、時間が短縮できより多くの問題が解けるようになったなどの声が聞こえた。以上の2つの実証実験を通して、タブレットを活用した学習における良い点と改善点を明らかにすることができた。引き続き21世紀にふさわしい学びの検証に取り組んでいきたい。

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