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勉強会デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、有識者による勉強会を毎月開催しています。開催内容を一部ご紹介します。

2012年11月15日開催 

第28回 DiTT勉強会のご報告-廉宗淳氏・馬場覚志氏-

2012年11月15日、山王健保会館2階会議室にて、第28回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。今回は廉 宗淳氏(佐賀県 統括本部情報課 情報企画監 兼教育庁 教育情報化推進室 情報企画監)と、馬場 覚志氏(NTTコミュニケーションズ株式会社 第三営業本部 営業推進部門長)にご登壇頂きました。廉 宗淳氏には、「佐賀県の教育情報化推進状況、佐賀スタイルについて」というテーマで、馬場 覚志氏には「教育分野におけるクラウドコンピューティングの活用」というテーマでお話を頂きました。
以下は、発言要旨となります。


-廉 宗淳氏 ご講演要旨-


「佐賀県の教育情報化推進状況、佐賀スタイルについて」
 OECD国家のティーチング時間の推移を日本と韓国で比べると日本の方が、教師の業務時間が長い。しかし、実際は授業の準備より、生徒の学生記録情報管理を含め一般事務などの雑務の時間が4割を占めている。
佐賀県は教育情報システムというものを作り、先生を雑務から開放するためのシステムを県が開発。県内の学校が共同でそのシステムを使うことを前提としていて、生徒の情報をデータとして連携することを想定。しかし、さらに、来年までに県内の学校・特別支援学校等に電子黒板、電子教卓を導入することを予定している。ただ、先生を教卓の中に閉じ込めるべきなのかという議論が残っているため、電子教卓は35台の導入の経過を見て決める。 同時に、一番大事なのは、先生の皆様がICTを使いこなせる能力も引き上げなければならないので、先生へのICT教育も進めている。また、 再来年までの構想として、生徒へのタッチパネル形式のデバイスの導入を検討中。 生徒自らのレベルに合わせて、予習復習ができるようにすることを想定している。
 2008年に、佐賀県ICT推進本部の設置し、「さがICTビジョン2008」を公表。ボード型の電子黒板の試行導入。先進国の教育視察に着手した。2009年には、県独自のe-ラーニング教材の開発に着手。また、文部科学省の「スクール・ニューディール事業」に参加。2010年に、web版学習プリント配信システムのモデル事業実施。「ICT利活用教育推進リーダー養成研修」に着手。総務省の「フィーチャースクール推進事業」に参加。2011年では、「先進的ICT利活用教育推進事業」の本格実施。佐賀県総合計画2011において、“進”重点項目に位置づけ。総務省の「フィーチャースクール推進事業」への参加と合わせて、文部科学省の「学びのイノベーション事業」にも参加。


-馬場 覚志氏 ご講演要旨-


「教育分野におけるクラウドコンピューティングの活用」
 クラウドコンピューティングとは、ネットワークを含むコンピューティングリソースの共用プールにオンデマンドにアクセスすることで、システムを迅速に利用できるというモデル。こう言うと小難しく、実際技術的にも新しい要素はあるのだが、実はクラウド自体は新しいサービスではなく、従来もあったネットワーク上で提供されるサービスの総称と言ってよい。クラウドは、5つの基本特性、3つのサービスモデル、4つの配置モデルによって定義されるが、サービスモデル(IaaS/PaaS/SaaS)、配置モデル(プライベート/パブリック等)を覚えておけば決して面倒な話ではない。
 教育分野でのクラウドの主なメリットは4つある。
1.セキュリティ: クラウドの場合、第三者のアクセスに対し厳重な監視体 制がある。「ネットワークはセキュリティが不安」というのは教育クラウドではむしろ逆。
2.フレキシビリティ: データ量の増加や新たな機能の追加に対するシステム拡張の柔軟性は更新年度の差に困っている教育現場にも有益。
3.コストダウン: 自前でシステム構築するよりも、初期費用の削減やサービスを利用した分だけ支払う従量課金などで大幅なコストダウンが見込める。
4.スピード: サービス利用できるのでシステム導入の際の教委の手間は大きく減る。ビジネスシーンでの活用とは重点は多少違えども、教育のICT化においてもクラウド活用には多くの利点があることが見えてきている。
 実際に各教育委員会でもクラウド利用の導入、活用検討が進んできている。着目点は多様でクラウドのメリットを教育ICT化に生かす取り組みは、今後一層重要になってくるだろう。 

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