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勉強会デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、有識者による勉強会を毎月開催しています。開催内容を一部ご紹介します。

2013年02月21日開催 

第31回 DiTT勉強会のご報告-田村恭久氏・ 東博暢氏・谷田部茂氏・松並勝氏-

2013年2月21日、山王健保会館2階会議室にて、第31回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。今回は田村 恭久氏(上智大学理工学部 情報理工学科 准教授)と、、東 博暢氏(株式会社日本総合研究所 戦略コンサルティング部 コンテンツ創発戦略クラスター長(DiTT/JSSEC 理事))と谷田部 茂氏(一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)技術部会 部会長/シスコシステムズ合同会社 ジャパンテクノロジーアンドリサーチセンター)と松並 勝氏(一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)技術部会 アプリケーションWGセキュアコーディンググループ/ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ(株))にご登壇頂きました。田村 恭久氏には、「電子教科書の実装技術とその国際標準の動向」というテーマで、東 博暢氏、谷田部 茂氏、松並 勝氏には「教育情報化におけるサイバーセキュリティーとプライバシー等の考え方」というテーマでお話を頂きました。
以下は、発言要旨となります。


-田村 恭久氏 ご講演要旨-


「電子教科書の実装技術とその国際標準の動向」
上智大学理工学部 情報理工学科 准教授の田村恭久氏は、学習を支援するためのコンピューターの利用方法やeラーニングシステムの研究開発を進めている。そこで、電子教科書に関する実装環境、求められる機能、ePubでの機能実装と相互運用性検証、ISOにおける電子教科書の標準化動向のお話を伺った。
ISO(国際標準化機関)の活動に関わっている。ISO/IEC JTC1 SC36はeラーニングに関する技術の標準を議論している場である。このSC36において、一昨年から電子教科書に関する議論が始まっている。
電子教科書をタブレットやノートPCで表示・操作する時、利用するソフトや実装するファイル形式には様々な選択肢がある。これらには例えばPDF、ウェブのコンテンツ、電子書籍などがある。このうち、電子書籍においてデファクトスタンダードになりつつあるePubは、多くの機種やソフトで閲覧できるメリットがある。ただ、電子教科書は単なる電子書籍ではなく、プラスアルファとしていろいろな機能が必要になってくる。そこで,文献や聞き取り調査をもとに電子教科書の標準機能を52項目定め、またこれらをePubを用いて実装してみた。その評価結果が表(資料参照)である。複数の機器や電子書籍リーダーを比較したところ、多くの機能を追加してあり、JavaScriptも動くiPad上のiBooks3が最も良い結果となった。
ISO/IEC JTC1 SC36では電子教科書に関する議論が開始され、e-Textbook project(英仏中韓日の五カ国)のco-editorとして活動している。電子教科書には何が必要なのかを議論するにあたり、アンケートを作成し、関連団体の方々に回答をお願いした。ご協力いただき、ありがとうございます。アンケートの結果は1~2か月後に発表される予定である。
電子教科書の技術的な規格を取りまとめている日本の団体は、個人的に知る限り現在ではない。DiTTは教科書会社やSIベンダーなど多様な企業が参加しており、議論に適しているのではないかと思う。


-東博暢・谷田部茂氏・松並勝氏 ご講演要旨-


「教育情報化におけるサイバーセキュリティーとプライバシー等の考え方」
JSSEC東理事、技術部会から、谷田部氏、松並氏に、教育情報化におけるセキュリティーとプライバシーの問題に関して、お話いただいた。
JSSECは、ビジネス分野においてますます利用拡大が予想されるスマートフォンやタブレット端末導入に際し、セキュリティ上の課題が、利用促進の妨げとなっていることを受け、情報セキュリティリテラシーの向上を行うことで一層高度な活用を促進することを目的に設立された団体である。
ここで活動しているのが技術部会であり、スマートフォンを安全に利用するための技術的な調査・研究・検証を行っており、総務省などとも連携をとり、さまざまな成果物を出している。近年若年層の利用が拡大しているため、インフラ面、情報面などで学生のITリテラシーを向上させるための活動を行っていく予定である。
最後に教育情報化推進における情報セキュリティにおける論点整理についてお話する。コンピュータシステムのセキュリティ分析技法があるが、これは漠然とした状態からセキュリティやプライバシーの問題を見える化して、安全化対策を提案する方法である。これを応用して、教育現場に置き換え、たとえば有害サイトへ個人情報を書き込んでしまう問題に関しては、問題点を図で表すことにより、フィルタリング対策をとったり、さらに生徒や保護者への情報リテラシ・情報モラル等の教育を行うなど、対策が見えてくることで、漠然とした不安から解消される。
今後、デジタル教科書教材協議会(DiTT)とセキュリティ分析技法に詳しいJSSECとが協力し、デジタル教科書の見える化(論点整理)を行うことで、少しでも現場の不安を解消することで、普及促進につながるのではないかと考えている。

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