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勉強会デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、有識者による勉強会を毎月開催しています。開催内容を一部ご紹介します。

2013年11月19日開催 

第40回 DiTT勉強会のご報告-有田泰記氏・永田康貴氏-

2013年11月19日、山王健保会館2階会議室にて、第40回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。今回は有田 泰記氏(大日本印刷株式会社 hontoビジネス本部 事業戦略・推進部 第1グループ)と、永田 康貴氏(大日本印刷株式会社 情報ソリューション事業部 BPO開発本部 5部)にご登壇頂きました。有田 泰記氏には、「デジタル教科書・教材サービスへの取り組みについて」というテーマで、永田 康貴氏には「紙教材とタブレットをつなぐデジタルペン授業システム」というテーマでお話を頂きました。
以下は、発言要旨となります。


-有田 泰記氏 ご講演要旨-


「デジタル教科書・教材サービスへの取り組みについて」
大日本印刷(以下、DNP)はハイブリッド型書店サービス 「honto」として、「読みたい本に必ず出会える」「読みたい本を読みたい形で読める」をコンセプトに、リアル書店、通販サービス、電子書籍ストアのすべてのサービスを、ひとつのプラットフォームで提供しています。「honto」の特徴は、①いつでもどこでも、ほしい時に、ほしい形で、本を手にすることが可能で、②提携書店、通販サービス、電子書籍ストア、いずれのチャネルで本を買ってもポイントが貯まります。また、③いつでも、どこでも、読みたい本を読みたい場所でスマートフォンやタブレット、パソコンなどさまざまなデバイスで電子書籍を読むことが可能で、④通販サービスは100万点以上の商品の取り扱い、電子書籍ストアは文芸やコミック・ビジネス書など国内最大級の品揃えです。さらに、⑤「honto」で購入した本のリストを自動で一括管理する「マイ本棚」機能や読書履歴に応じたおすすめ書籍のレコメンドなど、本好きに嬉しいサービスを多数提供しています。「honto」では、リアル書店とネット書店は連携し、それぞれの長所を活かしたシナジーサイクルを追及し、サービスの向上を図っています。 文教界では、2011年に「教育の情報化ビジョン」や2013年に「国家戦略としてのICT教育」が発表され、一人一台ICT端末の整備が掲げられました。反転授業、アクティブラーニングなど、教育現場において積極的に従来とは異なるスタイルを取り入れると共に、ICTを用いた学習方法が模索されています。「honto」におけるリアル書店とネット書店の連携と同様、学習の現場ではアナログならではの利点が今後も継続して利活用され、デジタルとの併用、融合が進んでいくのではないかと考えています。 そこで、DNPではデジタルならではの拡張機能を従前の授業・学習にて効果的に活用していくために、先生および生徒同士、先生と生徒のコミュニケーションが活性化するようなインフラやツールの提供を実施しようと考えています。具体的には、デジタル化されたコンテンツの配信、コンテンツの魅力を最大限に伝えるビューアなどであり、複数の出版社や学校と協力し、観察ならびに利用者の行動ログの解析を通じて、ユーザビリティ・コンテンツの改善施策、モチベーションの維持・拡大施策の検討を行ってまいります。 観察ならびに行動ログは今後の活動におけるエビデンスとして重要であると考えており、セキュリティの面も十分に配慮しながら本サービスの質的向上を実現しようと考えています。 引き続き実証研究を実施している学校からのフィードバックを反映させ、より実際の使用シーンにて有効なUIを開発していく他、児童・生徒が学びの楽しさ、授業の楽しさを感じるための仕掛けを検討し、教育の質向上に貢献していく所存です。


永田 康貴氏 ご講演要旨-


「紙教材とタブレットをつなぐデジタルペン授業システム」
弊社では、学校現場において日常性のあるICTとして導入が進んでいるデジタルペンの販売を行っている。デジタルペンは、実際にボールペンとして書くことができ、書いた内容がすぐにデジタル化され、パソコンに送信される。  授業で活用する場合、生徒一人一人が書いたものを先生が画面上に写し、多様な考えをスピーディに共有したり、書いた内容をあとから再現することで、思考過程を共有することができる。  2007年頃から80校での実証実験を重ね、現場の先生方からの要望をもとに商品としての機能を開発していった。学識者の方からも論文にてデジタルペンの教育的効果を評価いただいている。  実際に使用した先生方からは、「紙中心の授業を崩さないため、利用の抵抗感が少なく、敷居が低い」「多様な意見をスピーディに共有できるため、授業のスリム化ができる」などの意見が、生徒からは自分や他の生徒の記入内容が表示されることによる意欲や自信の向上、理解度のアップ、発表や表現力のアップにつながる評価を得ている。  これまで、一部の教育関係者などから、普及が進む生徒用タブレットに対し逆行しているのではないか、という見方もあったが、最近ではむしろタブレットと共用、補完するかたちでの評価が進んでいる。 具体的にはダブレットのディスプレイに書き込むのが難しい学習場面や、文字量が多く、速記性が要求される授業においてペンを活用し、デジタル化された他の生徒のノートを自分のタブレットでみる、といった実践がフューチャースクールの指定校などで行われ、効果を挙げている。 タブレット導入校の多くで、ペンを使うことでタブレットの活用場面が増えそうだといった声や、使ってみたいという声を多数得ており、実際にタブレットを導入した/検討中の自治体での導入検討も相次いでいる。 また学術的な観点でも、タブレットと紙(とデジタルペン)を連携した方が効果的な学習課題がある、との研究発表がある。  デジタルペンとタブレットの連携は、金融や医療等といった業務利用分野でも同様のニーズと実績があり、教育分野でもこの流れは加速すると見ている。弊社は生徒用Windowsタブレットと直接連携できるデジタルペン製品の提供も予定しており、今後一層タブレットの導入や活用を促進していく存在になっていくと思っている。 

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