▲

勉強会デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、有識者による勉強会を毎月開催しています。開催内容を一部ご紹介します。

2014年02月18日開催 

第43回 DiTT勉強会のご報告-中村敦雄氏・柿澤茂氏-

2014年2月18日、山王健保会館2階会議室にて、第43回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。今回は中村 敦雄氏(明治学院大学心理学部教育発達学科教授/元・群馬大学教育学部教授)と、柿澤 茂氏(株式会社フォトロン 営業部教育映像グループ長)にご登壇頂きました。中村 敦雄氏には、「教室にデジタルがやってきた-実証研究から明らかになった教師の期待と失望-」というテーマで、柿澤 茂氏には「反転授業におけるイマジカロボットホールディングスの取り組み」というテーマでお話を頂きました。
以下は、発言要旨となります。


-中村 敦雄氏 ご講演要旨-


国語は300年以上の紙媒体の歴史がある、そこで情報端末を国語科の学習指導に導入すると、どのような可能性が拓かれるのだろうか?と問いから、今回、国立大学法人群馬大学(教育学部・同附属学校)とデジタル教科書教材協議会と共同で、附属小学校、中学校で一人一台の情報端末を使用し実証研究を実施した。
研究の成果として、
① 音声言語活動や音読・朗読活動における能力や評価意識の向上
② 映像等の視覚的な情報を取り入れた言語活動の実現
③ 調査活動や学び合いの機会における情報共有の支援
上記のように、全員が思い通りに、納得のいくまで撮影、視聴したりでき、各自が集中して録画している姿が印象的で、一見個人作業だが他者との情報を交換しあうことが容易にでき教室内が活発になった。グループ活動でも同様な成果が見られた。
課題としては、
① デジタル教科書や情報端末等の新テクノロジーの台頭は、ただちに紙媒体の教科書や教材・教具の駆逐を意味するものではない。現時点ではデジタルにも弱点があり、それぞれの長所を組み合わせた共存こそがのぞましい。
② 今回活用したハードウェア・ソフトウェアは基本的には大人向け・ビジネス用途のものであった。学校では本格的に活用するためには相応の最適化が課題である。
③ 教師が構想している授業について技術的な支援を行う「コンシェルジュ」や、教師とエンジニア等の専門家との橋渡しを行う「コーディネーター」の役割を果たす存在が不可欠である。
上記のように、ハード・ソフトは教師が子どもたち(特に小学生)にも使いやすいようにワンクッション入れて使用したり、デジタルを導入するにあたって学校や教育行政に関わる人の知識がまだ浅く、このままの状態でデジタルを導入してしまうと教師が使いこなすことが出来ず、デジタルは使いにくいのでやはり紙媒体でよいのではないかという見識に陥ってしまう可能性があるので使う側と提供する側のギャップがあるということを認識してほしい。
改善点としては、
① 充電時間が長い割には使用可能時間が短い
② 動画撮影の際、音声が十分に拾えないことがある
③ 電源コードと接続端子が破損しやすい
④ 1学級分の情報端末を夜間にすべて充電が可能な装置が不可欠である
⑤ 無線LANにトラブルがおこりやすい
⑥ デジタル教科書というわりには、動画補助資料等のコンテンツが現時点では乏しいがために魅力的に感じない
上記をふまえ、デジタルを定着させるためには、デジタル教科書を授業素材提供ソフトと位置づけて中身を豊かにし、先生方が使用しやすいようにタブレットという汎用機より専用機という発想の方が先生方も受け入れやすいのではないか、そしてデジタルでしかできないこともあるということがもっと増えていき認識されるようアピールしていかなくてはならいのではないでしょうか。


柿澤 茂氏 ご講演要旨-


イマジカグループ会社のフォトロンは、映像製作のための機材を扱う会社である。教育映像は、e-learning分野が主であるが、最近注目されているのが、本日お話させていただく「反転授業」である。
反転授業とは、自宅でビデオ授業を視聴して予習し、教室では一方的な座学講義は行わず、課題について、指導(コーチング)しながら取り組んでいく授業形態である。今年に入ってからも数回、新聞などで記事として取り上げられている。
 反転授業が注目されるようになった背景としては、スマートフォンの普及、インターネット普及率の向上、そしてデジタル教科書の普及などがあげられる。昨年末より、佐賀県武雄市の小学校で「反転授業」の試みが始まるなど、各自治体でも取り組みが始まっている。
海外では、米国、韓国などですでに反転授業が実施されており、学力の向上、また生徒の態度の改善など、その有用性が報告されている。
 大学や塾ではかなり普及してきた反転授業だが、基礎学習の定着という観点からも、小・中学校でもっと反転授業が実施されていくことが望ましいと考えている。
 課題としては、
1)コストやインフラ面
2)教育機関の人材不足
3)意図するようなコンテンツがないなどの点が上げられる
が、1)については、政府や公共支援で解決できるかと思うが、2)3)について、フォトロン社での講義収録装置やPF-NOTEといったツールが一助になるのではないかと考えている。
講義収録装置は難しい操作無く先生が望むコンテンツを作ることが可能。また「PF-NOTE」は、クリッカーと動画を組み合わせたツールである。スマートフォン、タブレットにも対応し手軽に使えるようになった。
 フォトロン社では、これまで復習で動画を活用することが中心であった。予習(事前学習)にもっと力をいれられるような反転授業に役に立つ製品をこれからも提供していきたいと考えている。 

勉強会の一覧へ戻る



ページトップへ戻る

COPYRIGHT 2011. Digital Textbook and Teaching all rights reserved.