2016年10月17日開催
DiTTシンポジウム「教育情報化とプライバシー・セキュリティ問題」
■日時:2016年10月17日(月)13:30~15:00
■会場:慶應義塾大学三田キャンパス東館6F G-SEC
https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html
パネルディスカッション:
加藤理啓 Classi株式会社 代表取締役副社長
新藤豊 東京都三鷹市 総務部相談・情報課長
平井聡一郎 茨城県古河市教育委員会 参事兼指導課長
藤村裕一 鳴門教育大学大学院 准教授
片岡靖 DiTT参与、ICTCONNECT21事務局長
中村伊知哉 DiTT専務理事、慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授
石戸奈々子 DiTT事務局長、NPO法人CANVAS理事長
*敬称略
教育におけるクラウドと個人情報保護条例の問題点、さらにはセキュリティポリシーに関して、現状の整理と事例を鳴門教育大学大学院准教授 藤村裕一氏にお話しいただいた。文部科学省の「教育情報セキュリティ対策推進チーム」委員「2020年代へ向けた教育の情報化に関する懇談会」委員(基調提案担当)などを歴任されている藤村氏は、「文科省による“教育情報セキュリティのための緊急提言”は教育情報セキュリティを見直すきっかけづくりであり、定期的な監査で実態に合わないポリシーの見直しが必要」と語った。また、学習系と校務系の連携(共有すべきものは何なのか、いかに安全に情報を流すか)が必要であり、今後は災害対策も視野に入れ、教育クラウドなどを活用すべきであり、未来あるこどもたちのために、ここにいるみなさんと考えていきたい、とした。
パネリストプレゼンでは、自治体の立場から新藤氏が「学校は地域で大きな情報処理を担う場。こどもの成績からアレルギーまでセンシティブな情報を取り扱う割に、関係者の意識が立ち遅れている。技術的対策はもちろん、適切に運用するためのルールづくりが必要」と語った。次に教育委員会の立場として平井氏が「教育ICT化の阻害要因は、国、県、市町村の意識のかい離と、情報管理に対する担当者の知識不足。ガチガチのセキュリティは活用を阻害するが、セキュリティは周囲の理解を得る第一歩。先生方にセキュリティの知識を研修するとともに、児童・生徒にも情報セキュリティ意識を育成していきたい」とした。最後に事業者の立場から加藤氏が「人口減少やグローバル化は恐怖でなくチャンス。先生と生徒、学校と家庭をつなぐサービスで、こどもの無限の可能性を解き放ち、学びの形を進化させたい」と話した。
これら受け、登壇者間で「学校の情報化が進まない要因と解決策」「情報が漏えいしたら何が困るのか」「個人情報を守りつつ、クラウド活用を進める対策」などについて活発な意見が交わされた。