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2018年10月29日開催

DiTTシンポジウム「教育×著作権制度2018」

       
■日時:2018年10月29日(月)10:00〜11:30

■場所:紀尾井フォーラム
    千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート1F
    http://kioi-forum.com/access/

■登壇者・講演内容 (※敬称略、発表順)
「ねこでもわかる教育×著作権」(仮題)
 福井健策 骨董通り法律事務所代表パートナー 

「教育利用著作権の海外事例」
  菊池尚人 一般社団法人融合研究所 所長

第1部ご講演 福井健策氏 骨董通り法律事務所代表パートナー 
<議事要旨>
 本日は著作権の基礎編ということで、著作権とはどんな情報か、どんな権利が発生するのか、教育分野の著作権の権利対象と例外、さらに今回の著作権法の改正についてお話すると説明があった。
 
 前半はまずどんなものに著作権があるのかを著作権法に記載されている例をもとに説明いただいた。著作物とは思想や感情を創作的に表現したものであるが、そのなかで創作的な表現とはいえない、①ありふれた・定型的な表現②事実・データ③アイデア、また多くの④タイトル・名称・単純なマーク⑤実用品のデザインなどについては、教育現場でも自由に使える可能性が高い情報であり著作権がない情報と言えるものであるとの説明があった。
 次に著作権侵害については、民事と刑事の2つの責任が発生すること、その責任についていくつか具体例を挙げ、教育現場での利用については「怖がり過ぎない、でも深い落とし穴には気を付ける」ということを念頭に入れておくことが重要である旨説明した。
 さらに教育現場による権利侵害について、教育利用の典型例を挙げ、それぞれ利用類型(複製、ネット配信、展示ほか)によって、対象と権利について説明があった。その中で許可がいらない例外規定について、説明があった。従来より、ある条件を満たせば教育利用が無許諾でできるといった個別の例外規定があったが、今回の著作権法改正によりさらに拡充され、個別のケースに限定されない柔軟な権利制限規定が創設されたこと、さらにそれを含めて教育とかかわりがありそうな例外規定を後半に紹介いただいた。主だったものとして、表現の享受を目的としない利用、図書館などでの絶版等資料のデジタル化、ライブ授業が前提である授業での利用などを挙げた。授業での利用の注意点として同時送信以外の公衆送信については、認める代わりに別途補償金の支払いが求められることになり、現在協議中である旨説明があった。
加えて例外規定として視聴覚障害者のための複製等、コンピュータ利用に付随する利用、新たな価値を生むコンピュータ処理の結果提供に伴う利用などが挙げられるとの説明があった。
 最後に著作権の期間が従来の50年から死後70年に延長される(予定)ことに言及し、「ねこでもわかる教育×著作権(仮題)」の講演を終了した。


第2部ご講演 菊池尚人氏  一般社団法人融合研究所 所長
<議事要旨>
 菊池尚人DiTT理事から「拡大集中管理とクラウドサービス」~補償金制度の次~というテーマでお話いただいた。著作権法の一部が改正され、おそらく再来年4月から補償金制度が始まることを受け、諸外国の状況と目指すべき方向性、さらにDiTT/超教育協会が進む方向性についてお話しする旨の説明があった。

 まず、DiTTが調査した海外6か国(イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、韓国、アメリカ)の著作権処理の現状について報告があった。その現状を踏まえて、今後の方向性として、補償金+ライセンスの趨勢、オンラインの許諾やデータベースの整備の必要性、ガイドライン等のルール周知、権利管理からクラウドによるコンテンツ提供が説明された。
 それらを踏まえて集中管理についてDiTT著作権WGによる以下の5つの提言骨子が報告された。
・ライセンスを含む集中管理の拡大
・専修学校、各種学校、塾等を含む対象教育機関の拡大
・教育関連著作物に関する権利者情報データベースの構築
・ガイドラインの対象範囲拡大
・教育コンテンツクラウドの設計
引き続き議論を重ねながら、最終的にとりまとめて提言発表する予定であるとまとめられた。

 次に調査に携わった川原和彦研究員から、調査を通じて見えてきた日本の補償金制度の方向性についての私見コメントがあった。


 各国に共通する教育への理解や協力と集中管理団体の自律について言及するとともに、デジタルプラットフォーム化による業務効率化や、
教育利用素材のオーダーメイド化やパッケージ化の兆しがみられることについて報告があった。

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