2014年11月13日開催
第52回 DiTT勉強会のご報告-矢田恭規氏・森下耕治氏・曽川誉章氏-
以下は、発言要旨となります。
-矢田 恭規氏 ご講演要旨-
シャープ(株)デジタル情報家電事業本部モバイルソリューション事業部ネットワークサービス推進部で、文教と電子書籍事業を担当している。
シャープというとハードメーカのイメージがあるが、今回はハードの話ではなく、ソフト/ソリューションの話をしていく。
まず、教育ICT市場の全体像として、ICT導入前は紙と黒板/チョークで授業を行っていたが、ICTを導入することでこれらがデジタルに変わる。そこで、電子教材配信やハードウェア/授業を支援するソフト等の商材が生まれる。
弊社の文教関連商材としては、(1)電子教材のコンテンツ(2)Eラーニング(3)ハードウェアがある。
当社では、ザウルスの時代よりXMDFという形で電子書籍を取扱っており、オーサリング(コンテンツ制作)から配信/ビューアを作詞してきた。その後、辞書や携帯電話に搭載し、携帯電話ではキャリアの公式サービスとなっていた。その後GALAPAGOSに至る。
GALAPAGOSは当初メディアタブレットで開始されたが、その後マルチOS対応を行い、またフォーマットもePubを取扱うように進化している。また、GALAPAGOS STOREには、コミックや雑誌も含めて約20万点のコンテンツがあり、また取扱い出版社も約800社ある。
この電子書籍事業は、一般ユーザを相手とするB2C事業から今回ご紹介するB2B事業まで幅広く進めている。
弊社の電子教材への取組としては、業界標準フォーマットで入稿し、配信学習から、しおりやマーカー成績管理までサポートしている。
また、当社では、全国約8000校の納入実績のあるスタディシリーズという授業支援システムを提供しており、個別/協働/一斉学習を支援している。
弊社は、紙のドリルで最大手の(株)日本標準様とデジタル教材を共同開発し、佐賀県多久市で実証研究を行う。この際には、日本マイクロソフト(株)様のご協力の下、200台のタブレットを準備した。この実証研究は、まず11月下旬にテストを行い、子どもの苦手なところを指導する問題を用意し、毎日子どもたちに解かせることで弱点を克服させ、2月上旬に再度テストを行い、学習効果を測定する。このデジタル教材の特長は、極力ネットワークに負荷をかけない作りとしている。実証研究の結果に関しては、別途報告したいと考えている。
-森下 耕治氏・曽川 誉章氏 ご講演要旨-
昨年9月、教科書会社とシステム会社でデジタル教科書のプラットフォームを共同開発するために立ち上げた「CoNETS」の活動についてご紹介する。
CoNETS各社で開発しているデジタル教科書は、文科省の学びのイノベーション事業報告書に記載されている「学習者用デジタル教科書・教材等の基本的な考え方」に挙げられている望ましい環境を実現できるよう、開発を進めている。
開発したデジタル教科書は、
・各教科のデジタル教科書が一つの仕組みに(スタート画面で全ての教材が並んで表示)
・インターフェースの統一
・自由に書き込み可能で教科書上に学びの足跡を残す
・教科書画面を使ってオリジナル教材を作成
・画面を分割して比較表示
・学習記録がデータで残る
・学年・教科を超えた学習連携
・クラス全員の端末とつながる
など、指導者である先生と使用する子どもたちの使い勝手を考慮して、より授業の幅が拡がるような教材となっている。
後半は、来年4月より小学校で使用予定の教材体験版(指導者用)を使って、授業形式で紹介。立体の観察の単元では、面に色付けすることでよりわかりやすく、また展開図などを使って、より子どもたちが理解しやすいような工夫を随所にちりばめた教材となっていることを紹介。
CoNETSでは、子どもたちの学びたい好奇心に答え、より学ぶことが楽しくなる教科書作りを目指していきたいと考えている。