2010年12月20日開催
第5回 DiTT勉強会のご報告-原克彦氏・滝田裕三氏-
2010年12月20日、山王健保会館2階にて、第5回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。第5回目は、原克彦様(目白大学 メディア表現学科教授・教育研究所所長)と滝田裕三様(Microsoft㈱ パブリックセクター文教ソリューション本部 エデュケーションシニアインダストリーマネージャー)にご登壇頂きました。
年の瀬にもかかわらず、100名を超える幹事・会員企業の方にお越し頂き、原克彦様には「ICT指導者研修について」、滝田裕三様には「初等中等教育機関における電子ノート活用」についてお話頂きました。以下は、発言要旨となります。
-原克彦氏 ご講演要旨-
今回のデジタル教科書に関する世の中の動きは、情報社会で生きる力を整理すると共に、教科教育に提言を行う良い機会と考えられる。ICTを用いて相手に情報を伝える手段や技術を子供たちは理解していく。これからの社会に求められるのはこういった力であろう。考えを正しく分かりやすく伝える、考えを整理する能力を小学校から身につけて欲しい。言い換えると、情報を整理し新しい情報を創造して、相手に分かりやすく伝える。もう一方では情報を取捨選択しながら、収集するという活動が必要になってくる。
こうした活動を見たときに、子供たちの机の上はどうなっているか?子供たちの学習は黒板で行われているのではなくて、手元発表を聞いて鉛筆で描いたり、色を塗ったりして行われている。このへんがデジタル教科書を作るときに見落とされがちで、手元の環境に気を配るべきである。子供が楽しめる環境作りというのも配慮して欲しい。
-滝田裕三氏 ご講演要旨-
指導者用デジタル教材では電子黒板、学習者用を考えると電子ノートという組み合わせが良いのではないかと考えている。マイクロソフトでは2004年頃から電子ノートを「NEXTプロジェクト(http://www.microsoft.com/japan/education/next/default.mspx)」等の実証研究を中心に初等中等教育機関で推進してきた。現在では一般の学校でも電子ノート(Microsoft OneNote)が活用され始めている。
NEXTプロジェクトで手書きができるノートや端末が選択された理由として、先生方・児童生徒共に表現力の高さ・入力のしやすさという理由をあげていただいた。例えば教材の上にペンで手書きができ、マーカー・強調・色ペンでの帯分けなども可能である。
またデジタルの利点として情報の共有が可能なことがある。そして、なかなか発言しない子の意見を拾える。紙を使うよりも簡単に共有&保存ができる。そこに書き込みを入れて、個別に指導するといったことも可能である。電子ノートを使うことで「清書するノート」から、「考える・議論するノート」へ変わっている。今まではノート提出等に向けた綺麗なノートをつくっていたが、電子ノートを導入することで、自分で工夫し、まとめ直すこともでき、考えて議論するノートになっている。