2011年04月21日開催
第9回 DiTT勉強会のご報告-阿部 和広氏・土谷 健太郎氏-
2011年4月21日、山王健保会館2階会議室にて、第9回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。第9回目は、阿部 和広氏(サイバー大学教養科目客員教授 東京学芸大学非常勤講師 米 Squeakland Foundation Education Team メンバー)と土谷 健太郎氏(㈱ピアソン桐原 事業企画本部 本部長)にご登壇頂きました。
100名を超える幹事・会員企業の方にお越し頂き、阿部 和広氏には「パーソナルコンピューターとは何だったのか〜アラン・ケイのダイナブックの過去と現在」について、土谷 健太郎氏には「授業につながるデジタルソリューション」というテーマでお話を頂きました。
以下は、発言要旨となります。
-阿部 和広氏 ご講演要旨-
コンピューターを用いた教育についてお話ししたい。2010年のCAI(コンピューター支援教育)を見ると、ゲームのポイントやおまけを集めるといった理由で画面に向かっており、子どもたちは興味のあることや成長を促すことは何もしていないように見える場面が目に付く。アラン・ケイが考えた Dynabookの構想の中では、パーソナルコンピューターは大人が教材を作成して子どもに与えるのではなく、子どもたちが自分たちで必要なものを自分たちで作り上げるというということがポイントであった。
コンピューターは本質的にはなんでもできる道具である。コンピューターに子どもをプログラムさせたいのか。子どもにコンピューターをプログラムさせたいのか考えて欲しい。アラン・ケイのチームやMITメディアラボが作り上げたSqueak EtoysやScratchといったツールは、子どもたちがとりかかりやすいように敷居を低くし、高度なことまで出来るように天井を高く設定しているソフトウエアである。
このように子どもたちの教育を考える上で、決して子どもたちを甘く見てほしくなく、子どもたちを信じて欲しい。子どもたちは色々なことができ、その可能性を伸ばすための穴を空けておいて欲しい。
以下はプレゼン資料です。
http://scratch.mit.edu/projects/abee/1737996
-土谷 健太郎氏 ご講演要旨-
TestMakerというテスト自動作成システムは現在では、多くの教材作成会社によって提供されているが、弊社は1990年代というFDの時代から学校に提供を行っており、テストの作り方の細かな調整や多種の小テストを同時に作成する機能や、Wordで編集が可能な形で排出できるようにするなどといった先生方のニーズにあわせた提供を行い続けている。
現在では、Webでのデータ配信とCDでのプログラム配布を併用しており、著作権に対する問題や教材の変化に合わせた制作側での迅速なアップロードが可能になっている。
こうしたシステムは現在では多く開発されており、差別化の要因にはならないが、20年前には差別化の要因となっていた。当時はテストメーカーによる採用増 →精度の高いコンテンツ開発に注力→採用増という良い循環になっていたと思うが、テストメーカーを無料で提供しているため、競合が同じシステムを提供するようになってからは収益を圧迫する要因になってしまった。
弊社では今後もデジタルソリューションを提供することで教育そのものの質を高めることに貢献したいと考えており、そのために弊社が世界で展開しているサービスのひとつであるFronterというサービスを試したいと考えている。