2012年08月23日開催
第25回 DiTT勉強会のご報告-芦屋充氏・大寺篤氏-
2012年8月23日、山王健保会館2階会議室にて、第25回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。 今回は芦屋 充氏(CSE株式会社 取締役)と大寺 篤氏(セイコーエプソン株式会社 ビジュアルプロダクツ事業部 VP事業戦略推進部 部長)にご登壇頂きました。 芦屋 充氏には、「韓国のデジタル教科書とYOUSEEについて」というテーマで、 大寺 篤氏には「教育市場におけるインタラクティブプロジェクターの活用事例」というテーマでお話を頂きました。
以下は、発言要旨となります。
-芦屋充氏 ご講演要旨-
・YOUSEEとは YOUSEEのコンセプトは「見える」「分かる」「伝える」。4つの行動指針「スピード」「シェア」「セキュリティ」「拡張性」をもとに開発。YOUSEEは世界中で実際に運用している。今年で10年。第一世代は紙からデジタルへ。いまの電子書籍にあたるもの。第二世代はインタラクティブ性。主な活用例としては、デジタル教科書。第三世代はアーカイブ。第四世代は、デジタル資産管理。デジタル化は保存だけではなく活用できる目的とする。この全てを手がけてきた。ビューア自体の特長は、スピードと、マルチ端末。マルチ端末がいまの主流だが、YOUSEEはひとつのコンテンツを利用して、複数の端末で利用できる。
・教育現場事例 教育現場の実例として学習塾の場合。先生の能力にはばらつきがあるため、情報の均一化を目指した。教材をデジタル化し、情報を共有することで解決。また、管理職の場合、著作権の管理の問題があった。今まではエクセルで対応していたが、YOUSEEでビジュアルとして管理できるようにした。どちらも、YOUSEE「見える化」することで解決。これをもって、韓国の市場に提案を始めた。
教育における日本と韓国の違い。韓国の場合、教育によって、不動産の価格が大きく変わるほど、社会の教育に対しての考え方が違う。デジタル教科書の細かい指針はまだ決まっていない。「e教科書」と「指導用教科書」がある。「指導用教科書」電子黒板で先生が使いやすいように。写真を複数表示、動画を流すこともできる。音声機能も。この指導用教科書で40%以上のシェアを獲得。「使いやすい」との声。
DoUclassというものを共同開発した。4つのサービスがあり、「動画コンテンツ」「問題の作成機能」「スマート教科書」など。すべてのコンテンツがそこに集まっている。最大のポイントは、スマート教科書。先生自らカスタマイズできる。単純に利用するだけではなく、先生のオリジナルの教科書を作ることができる。また、授業で実際に使いやすいように、黒板機能やオンラインの辞書サービスなどを提供。
大学の資料室管理。すべてデジタル化することで、活用する資料室に。学内どこからでも閲覧できるようになった。生徒の作品をポートフォリオサイトにて、外部に向けて発信した。
-大寺篤氏 ご講演要旨-
・プロジェクターの視点からみた各国のICT教育普及状況 デジタル教材を使用した授業で使用される特徴的な機器として電子黒板がある。 その普及率を調べることで、各国のICT教育の普及率がわかる。 ICT教育の普及率はGDPとはあまり関係がなく、その国の政府の姿勢が大きいの ではないか。 多くの国がICT教育に力を入れており、韓国・トルコ・タイ・メキシコ等は ICT教育促進政策により、急速に普及するだろう。 日本では平成21年度補正予算がついたが、ICT教育普及に大きな効果はなかった。 ICT教育普及のための国家プロジェクトを日本でも促進させるべき。
・EPSONのICT教育への取り組みについて 大画面表示装置として、「公平」であることを基本要件としている。 教室内の生徒全員が「見やすい」環境を実現するためには通常黒板同等の80イン チワイドの画面サイズが必要と思われる。 また、大画面表示装置を使用することで「わかりやすい、教えやすい」授業、 子供たちの興味/集中力を喚起するとともに、知的生産性や創造性を向上させること が出来ると考える。 最新のプロジェクターではインタラクティブ機能も内蔵しており、机上投写により 電子模造紙としての使い方も可能と考えている。
・ICT授業への移行障壁について 先生の負荷軽減が非常に重要、準備や片付けが必要のない「常設」、従来の授業スタ イル等を急に変えるのではなく、従来の授業スタイルとの融合や共存ができること が必要と考える。 先生への支援・教育プログラムも重要と考える。 EPSONでは、大画面表示による「一斉学習」の支援・多画面同時表示による「比較吟 味」を支援・二人同時書き込みによって、より効果的な授業を支援・子供たちどう しが教え合い学びあう「協動学習」の支援などに取り組んでいる。 大画面表示装置の提供メーカーとして、分かりやすく教えやすいICT教育の実現に 貢献したい。 また、HMD商品で特別な支援が必要な子供たちへの学習支援が出来ないだろうか。