2013年09月17日開催
第38回 DiTT勉強会のご報告-桃井 隆良氏-
2013年9月17日、山王健保会館2階会議室にて、第38回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。今回は桃井 隆良氏(ルネサンス・アカデミー株式会社 社長/ルネサンス高校 校長)にご登壇頂きました。桃井 隆良氏には、「ICT教育の目指すもの」というテーマで、お話を頂きました。
以下は、発言要旨となります。
-桃井 隆良氏 ご講演要旨-
ルネサンス・アカデミー株式会社が運営するルネサンス高校は、教育特区内において設立された株式会社立の通信制高校である。平成18年度、茨城県の大子町にて第一校目を設立、平成23年10月には第二校を愛知県豊田市に開校し、来年の4月には三校目を大阪に開校する予定である。
日本の学校の運営は、学校教育法第一条において国や都道府県などの公的機関、私立学校等の学校法人、公益法人に限定されていたが、小泉内閣における構造改革時に教育特区が設けられ、特区内における株式会社の学校運営が許可された。現在は、20数校ほどの学校が株式会社により運営されている。
本校では、インターネットを活用した学習を行っている。生徒はスマートフォンやタブレット端末を用いて、動画教材の閲覧やアプリ等で学習し、テストやレポートはネット経由で提出ができる。従来の通信教育では、添削された答案が生徒に届くまで時間がかかってしまっていたが、ネットでは直ぐに正解不正解の確認ができる。質問が苦手な生徒でも、メールなら聞きやすいという意見もある。
2011年6月より、QUALCOMM 社からWireless Reachプロジェクトによる支援を受け、全生徒にスマートフォンを配布した。今年度からはタブレットデジタル教科書プロジェクトとしてタブレットの配布を実施した。全生徒がTPOに応じてスマホ、タブレットを使い分けて学習を行っている。
ルネサンス高校がいち早く紙の学習からケータイ、スマホへと移行させたのは、普段から身につけているデバイスで、直ぐに学習に取りかかれるというのが今の生徒たちにとって大切だと考えるからだ。生徒からの声として、PCは起動するのに時間がかかるのに対し、スマホやタブレットは直ぐに起動してすぐ勉強がはじめられるからいいという意見も出ている。学校内にて行ったアンケートでは、モバイル端末の利用が学習の役に立っていると思う、半分の生徒が回答している。
ルネサンス高校では、年に一度三泊四日のスクーリングへの参加が必須となっている。そこでは体験学習や実験、工作、ハイキング、名所旧跡の見学など、直に体験してもらうことを大切にしている。楽しみながら学習ができる、友だちができて嬉しいなど、生徒たちから好評価を得ている。
私たちが実施しているICT教育は、ルネサンス高校の生徒以外の人にも届けたいと考えている。特に科学教育の普及に注力しており、制作した動画などの教材販売や、インターネットを利用した科学検定の実施、さらにナショナルジオグラフィックの公式日本語サイトの運営なども行っている。今後も、ICTを用いてインタラクティブな教育普及活動を行っていきたいと思う。