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勉強会デジタル教科書教材協議会(DiTT)では、有識者による勉強会を毎月開催しています。開催内容を一部ご紹介します。

2013年12月17日開催 

第41回 DiTT勉強会のご報告-森下耕治氏・原田浩司氏-

2013年12月17日、山王健保会館2階会議室にて、第41回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。今回は森下 耕治氏(光村図書出版株式会社 企画開発本部 開発部長)と、原田 浩司氏(鹿沼市立みなみ小学校 校長)にご登壇頂きました。森下 耕治氏には、「デジタル教科書プラットフォームの開発コンソーシアム「CoNETS」の紹介」というテーマで、原田 浩司氏には「個のニーズに応じる特別支援教育とICT活用」というテーマでお話を頂きました。
以下は、発言要旨となります。


-森下 耕治氏 ご講演要旨-


教科書会社12社とシステム会社1社でデジタル教科書のプラットフォームを共同開発するために立ち上げたのが「CoNETS」である。 デジタル教科書は教科書準拠教材であり教科書ではなく、「指導者用」と「学習者用」の2つがあり、現在は30%超える小中学校で「指導者用」が導入されている。
これらの導入校で、デジタル教科書を使用することにより①学習目標の焦点化②学習情報の共有化③振り返り学習の習慣化④学びの動機づけに効果が見られた。
また、課題としては①教科や発行会社による操作性の違い②OS端末の違い③多様化する学習形態があげられる。そこで、共通のプラットフォームの開発と各教科書・ワークコンテンツの開発を共同で行い、次世代のデジタル教科書の開発に取り組んでいる。
CoNETSのテーマとして「つながる、ひろがる、わたしの教科書」を考えている。紙の教科書は書き込むのに限界があるがデジタル教科書はカスタマイズや書き込みができるという利点から、「自分の教科書を作り上げていく」ということをコンセプトに考えている。課題としては、紙の教科書と違ってデジタル化に際しての著作権契約などがある。
今後は、配信システムを設けることにより教科書の更新も対応できるようにしいきたい。スケジュールに関しては、小学校は2015年、中学校は2016年、高等学校は2017年の教科書改訂に伴って発行していく予定である。 また、2014年1月末から実証研究を展開していこうと考えている、そして各教科書会社等にも共通のプラットフォームを使用して頂きたいと働きかけていく予定である。


原田 浩司氏 ご講演要旨-


私は、もともと子どもたちの教育相談やカウンセリングなど30年に及び携わってきた。児童養護施設など、親の虐待や精神疾患で親から離れている子どもたちは全国500箇所にのぼる施設で暮らしている。また、通常学級において、知的発達に遅れはないが、学習面・行動面で著しい困難さを示す児童生徒は全国約66万人いると言われており、40人学級にあたり2~3人はいることになる。近年、若者の離職やニートが社会問題となっているが、こうした発達障害の子どもたちを家庭や学校が適切な対策をとらないと、社会的なリスクを背負うことになる。二次障害として、不登校や引きこもり、離職の危険性も高まっている。
発達障害の子どもたちというのは、
1、LD(学習障害)…全般的な知的発達の遅れはないが、認知能力のアンバランスがある。
2、ADHD(注意欠陥多動性障害)…不注意、多動性、衝動性である。
3、高機能自閉症…知的発達の遅れはないが、人への反応やかかわりの乏しさ、社会関係形成の困難さ、ことばの発達の遅れ、興味関心が狭く特定のものにこだわる特徴がある。
以上の3つに分類される。特に、LDについては、日本ではほとんど対策に手をつけていないの現状であり、教師は指導方法が分からないなどで悩み、学習障害の対策ができていない。早急な対応が必要であり、ここで個に応じたICTの活用が重要になっていると考える。
本校では、1.多様な情報収集と実態の把握、2.課題の明確化を行い、学ぶスタイルの多様な選択を行っている。そして、3.タイプ別の支援体制、4.パワーアップタイムの活用でICTを用いて学習を実践している。実践例として、DSソフトやPC学習ソフトを活用した読み書きトレーニング、フロスティッグを活用した視知覚トレーニング、DAISY教科書を活用した読みのトレーニング、などをパワーアップタイムの時間で行っている。 以上のような活動は、全校体制で日常的に実践することで以下のような教育的効果がある。
・子どもたちに学ぶ意欲、自信の高まりがみられる。
・個のニーズを尊重する教員の資質向上、同僚性が深まる。
・一人ひとりのよさを認め合う関係づくりができる。
・デジタル教材の有用性つまり子どもの学習への誘い入れ方に優れ、子どもの心理を心得ることができる。
・個のニーズに添って、カスタマイズできる。
LD児にとって学びやすい学校とは、どうあるべきか。以下のような点が挙げられる。
・全職員の意識改革がされている。
・デジタル教材活用について校長以下全員で教員研修を行う。
・LD児の早期発見を重要視している。
・低学年から一人ひとりの特性を知る。
・読み書き障害への早期対応が準備されている。
・デジタル教材を有効に活用できる。
・学び直しのチャンスが多様に準備されている。
・LD児の意欲と自信の回復が日常的にみられる。
・障害や学力差の有無にかかわらず、学び合う関係づくりを学級・学校で築こうとしている。
発達障害も障害の一つとして広く認知されるよう社会全体で協力して,官民一体でよりよい体制、対応策を築いてほしいと願う。 

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