2014年04月14日開催
第45回 DiTT勉強会のご報告-中西洋介氏・櫻井良樹氏-
2014年4月14日、慶応義塾大学三田キャンパス北館ホールにて、第45回デジタル教科書教材協議会勉強会を開催いたしました。今回は中西 洋介氏(近畿大学附属高等学校 英語科))と、櫻井 良樹氏(NECマネジメントパートナー株式会社 研修営業部 ラーニングサイエンティスト)にご登壇頂きました。中西 洋介氏には、「「反転授業」で行う英語授業」というテーマで、櫻井 良樹氏には「デジタル教科書による学習指導データの収集と分析の意義」というテーマでお話を頂きました。
以下は、発言要旨となります。
-中西 洋介氏 ご講演要旨-
近畿大学附属高等学校では、中学全生徒、高校1、2年の全生徒がiPadを購入して英語などの授業で活用している。めざましテレビで取り上げられた映像を紹介後、昨年4月より実施している「反転授業で行う英語授業」を紹介した。
反転授業で生徒たちに解説動画を用いて予習をしてもらうことにより、授業をどう有効的に使うかは、先生の力量が問われるところである。
近畿大学附属高校では、教員が独自に解説動画を作成しており、この動画を使った反転授業により、これまで日本語解説に多くの時間を割いていた英語授業が、All Englishと日本語解説の両立が可能となり、英文の理解の確認と定着に時間をかけることができるようになった。
まだ1年足らずの実施なので、学習効果が明確に出たわけではないが、リスニングやスピーキングの向上には手ごたえを感じている。
さらに、学習の三要素Mindset(心構え、気持ち)Method(方法)、Time(時間)を意識すれば、反転授業によりさらなる効果が期待できると考えている。
反転授業は、目的を達成するための1つの手段であること、授業においては生徒たちとの関係をしっかり確立し、授業の目的を明確にすることが重要であると説明した。
櫻井 良樹氏 ご講演要旨-
NECマネジメントパートナーでは、NECラーニングの事業を継続し、社員研修などを取り扱う事業を行っている。
教育環境は、ここ数年さまざまなICT活用機器が導入されることにより、著しい変革を遂げている。しかし、教育においてICTを使うのは手段であって、目的ではない。
これらの導入機器は、生徒たちの学習状態に関する情報を収集するためのツールとして利用することも可能である。
弊社では、2007年よりICTと活用して教育環境における学習行動データ(主に閲覧ページ遷移)を収集し、研究を進めてきた。企業内研修(新人研修)や、専門学校などでも学習行動データを収集し、分析している。
その結果、学習者の行動パターン類型化の可能性や学習者が本来的にもつ性格因子(Big Five=外向性、協調性、勤勉性、情緒安定性、知性)と学習行動の関連を示唆する知見を得ている。
まず、どのようなデータを集めるべきかを十分に検討すし、データ収集後はそれをしっかり分析することが何よりも重要であり、分析することで信頼性のあるデータとなるのである。