協働学習による情報の読み比べ
都道府県 | 佐賀県 | ||
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学校名 | 佐賀市立若楠小学校 | ||
先生氏名 | 内田明 | ||
教科 | 国語 | ||
学年 | 小学5年 |
活用したICT技術
授業活動の概要
1 日時 平成25年6月12日(水)5校時(13:50~14:35)
2 指導者 教諭 内田 明 ICT支援員小下洋弥
3 対象 佐賀市立若楠小学校5年2組児童(39名)
4 場所 佐賀市立若楠小学校5年2組教室
5 単元名 新聞記事を読み比べよう(東京書籍)
6 単元とその指導について
本単元は、水質浄化により戻ってきた多摩川のアユを題材としているが、意図に違いがある二つの新聞記事を取り上げている。記事を構成する4つの段落や見出し、リード、写真、キャプションを読み比べ、書き手の意図の違いについて考えさせる。そのことで、論の展開や使用している資料、編集の仕方に注意しながら内容を的確に読み取る力をつけることをねらう。また、新聞(一般紙)は、文、写真、図など多様な表現方法を用い、いわゆる5W1Hを押さえ、広い分野にわたる鮮度の高い情報が収められている。同じ出来事であっても新聞社によって捉え方が違うこともよくある。新聞は、社会の出来事について関心をもち、情報を読み解く力を養うことに適した教材であると考える。
本学級の児童に新聞についての事前アンケートを実施した。週に3日以上新聞を見ている児童は39人中11人(28%)、週に1〜2日の児童は4人(11%)ほとんど読まないという児童が24人(61%)であった。読んでいる目的もテレビの放映時間やスポーツの勝敗を知るためという児童が半数以上を占めた。新聞を読まない理由としては、文章が長い、文章が分からないと答えた児童が多かった。このことから、長文や、語句の意味を類推することが難しい文章を読む事への抵抗感があると思われる。また、社会の出来事を知る意義や、メディアとしての新聞の意義についてまだ意識していないのではないかと考えられる。
そこで指導にあたっては、児童が比較的親しみやすく意図に気づきやすい写真の読み比べに指導の重点を置く。そして、写真の意図とつながる文章に着目させ、意図による論の展開の違いについて考えさせるようにする。そのことで、文章の内容を的確に押さえながら読む力を身につけさせたい。また、社会の出来事に関心をもち、情報を適切に読み解き活用することができる児童に育てていきたい。
7 単元の目標
二つの新聞記事を読み比べ、書き手の意図によって記事の内容や写真が違うことがわかる。【読む】
8 指導計画(全6時間)
○ 新聞について理解する。(1時間)
○ 二つの記事を読み比べる。(4時間)
(1) 記事の共通点をとらえる。
(2) 記事の相違点をとらえる。
(3) いろいろな写真の撮り方よる伝わり方の違いを考える。
(4) 写真の違いを読み取る。(本時4/4)
○ 書き手の意図に沿った見出しを考える(1時間)
9 本時の学習
(1) 本時の目標
二つの記事の写真から、書き手の意図の違いを読み取ることができる。【読む】
(2) 本時の協働学習について
お互いの読みを深め合うために、家庭学習で考えてきたことをもとに写真の違いと書き手の意図の違いについて3人グループで話し合い、グループとしての結論を出し、学級全体に投げかけるようにする。
10 利活用するICTについて
(1) 利活用機器
・ 電子黒板(パイオニア製50インチプラズマディスプレイ一体型)
・ 学習者用端末(TOSHIBACM-13~4人グループに2台 計12台)
(2) 利活用コンテンツ
指導者用デジタル教科書(新しい国語 5年上)
ソフトウエア「もぞうし」
グループウエア「SKYMENUFORFUTURESCHOOL」期待できる効果/ICT活用のねらい
写真の相違点についてお互いの気づきや考えを共有し思考を深めるために、3人グループに2台の学習者用端末(TOSHIBA CM-1 合計19台)に1枚ずつ、ソフトウエア「もぞうし」ファイルに貼り付けた指導者用デジタル教科書の写真を映し、写真の上に書き込みをしながら話し合わせるようにする。
話し合った結果を学級全体で共有し、他グループの考えも取り入れながらさらに思考を吟味させるために、学習者用端末上で書き込みをした写真を電子黒板に転送し学級全体に発表させる。評価/振り返り
児童への事後アンケートでは,全員が「今日の話し合いが役に立った」と答えた。家庭学習では十分な読み比べができなかった児童が、協働的な学びを行うことによりワークシートに多くの書き込みを行い、考えの深まりや課題の解決に向かう様子が見られた。
また、「学習者用端末が話し合いの役に立ったか」という設問には39名中37名が役に立ったと答えた。児童の感想からも、3~4人グループでの話し合いで2台の学習者用端末を活用したことは、グループみんなで画面を見てマーキングしたり消したりしながら、自由な雰囲気で焦点化した話し合いをすることに効果があったのではないかと考える。
全体共有の場面で電子黒板を活用したことで発表が分かりやすくなったと答えた児童は39人中35人であった。分かりやすかったと答えた児童の理由は、「画面の印を見ながら話してくれたので、伝えたいことが分かった。」といった内容であった。全体共有の場面後に自分の考えを一部変更したり付け加えをしたりした児童も半数程度おり、思考の吟味に効果があったと考える。