クレイアニメでお話を作ろう
都道府県 | 新潟県 | ||
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学校名 | 上越教育大学付属小学校 | ||
先生氏名 | 水谷徹平 | ||
教科 | 総合学習 | ||
学年 | 小学5年 |
授業の目的
実施時期
活用したICT技術
授業活動の概要
プロジェクトチームごとにシナリオを作り,撮影し,その場で台本に合わせてセリフをあて,BGMを流し…など,協働し,粘土を少しずつ動かして写真を撮って,「かめの旅」「ひつじの親子」といった自分たちのオリジナル作品を完成させた。校内で途中までの作品を見せてはフィードバックを受けて改良していく中で,自分たちで考え,動く姿が多くなっていった。保育園児にも喜んでもらえるようにと,かわいらしいカニやカメ,いるかなどのキャラクターを登場させ,友達を探す,仲良くなるというシナリオの作品を完成させた。
5月,選択制のプロジェクト活動で行ったところ,積極的に活動を進め,自己表出が得意な子どもがダンスや合奏チームに入り,クレイアニメには,コミュニケーションが苦手でおとなしい子どもが多く集まった。どんな作品にするのかを話し合うこともままならない状態が1ヶ月以上続いた。
6月終わり,交流の日が迫ってきた頃には,何とか作品を完成しようとお互いに声をかけ,休み時間ごとに集まっては作品制作やセリフの練習に没頭する姿が見られるようになった。交流1週間前には全校児童を前に,緊張しながらも「学校でも発表会するので昼休みに見に来てください」と全校に呼びかける姿。今まで積極的に前に出て活動してこなかった子どもたちにとって,経験のないデジタル作品の制作活動と発信に一から取り組んだことにより,情報活用の実践力だけでなく,計画を立てて実行していく力や積極性,リーダーシップや自分がしなければという責任感が育まれたと感じる。保育園ではプロジェクタのケーブルを忘れたり,セリフが早くなって画面と合わなくなったりとアクシデントもあったが,自分たちで保育園の先生にケーブルを借り,アドリブでセリフを増やし…と,何とか問題を解決して発表を成功させようとする姿が見られた。デジタル作品を,肉声というアナログと組み合わせ,顔の見える相手に発表し,交流を重ねることで,子どもが成長していくことを感じた。 また,BGMの利用や背景の写真などの利活用の観点から著作権について考えるきっかけとなった。そこでネット上にあった森や川の画像を使っている動画作品の是非について考えた。当初,子どもたちはネット上に上がっている写真については,公開しているものだから利用しても構わないと全員が考えていた。教師が揺さぶりをかけたり,学級での話し合いを重ねたりしていくうちに,「写真も誰かの作品だから,勝手に使うのはだめだと思う」「でも,ネットに上がっているってことは使っていいという前提だと思う」「本屋さんに売っているページを写真に撮ったらだめだけど,無料のネットの写真はいいんじゃないの?」「絵と写真は違う。絵ならだめでも写真はいいでしょ。誰でも同じ場所に行けば撮れるんだし」と,何となく判断していた状態から,自分なりの根拠を発言するようになっていった。ネット上の写真も絵も,著作者が権利をもつ著作物であり,守られていること,発信時の無断利用はよくないこと,個人で楽しむ分にはかまわないこと等を伝えた。無断利用に伴う経済的効果や動画共有サイトでの無断のアップロードなどについても知らせ,発信者としてだけでなく,見る側としてもどう行動していくといいかを考えた。形式的に教師が無断利用を禁止するのではなく,自分たちで根拠を考えることで,作品を著作物として意識するようになっている。自分たちもオリジナルキャラクターを作っている経験から,著作権者の権利を保護することの重要性を実感できた。
<ICTの使用局面>
クレイアニメ制作では,i-pad mini3台を活用した。自作段ボール製フォトスタジオでタブレットをスタンドで固定し,粘土で作製した人形を少しずつ動かして撮影した。windows端末では,ムービーメーカーでBGMやSE,タイトルやエンドロールを加えた。3チームが「旅するカメ」,「甲虫大戦争」,「ヒツジの友だち」を完成させた。セリフをアテレコせずあえて肉声にすることによって,練習や発表を重ねるごとに子どもが工夫し,ブラッシュアップさせていく余地を残した。期待できる効果/ICT活用のねらい
・自身の成長やお世話になっている方への感謝,将来の夢や理想像,いのちへの感謝など,活動の中で思ったり考えたりした1年間の学びをレポートとしてまとめ,デジタルポートフォリオとして蓄積していくことで,自身の成長をメタ認知し,生き方を考えていく土台を育む。