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2018年03月12日開催

デジタル教科書教材協議会シンポジウム 「AI時代の教育を考える~AI活用の学習塾」



■日時:2018年3月12日(月)13:30~15:00 

■会場:慶応義塾大学三田キャンパス 東館8階ホール

シンポジウム参加者 :
稲葉尚樹       株式会社Z会エデュース
遠藤尚範       株式会社メイツ代表
河合英樹       学校法人河合塾 グループ経営戦略本部長
神野元基       株式会社COMPASS代表
辻村直也       ウェブリオ株式会社代表
中下真          atama plus株式会社COO
湯浅浩章       UNIVERSCHOOL(ユニバースクール)代表
中村伊知哉    DiTT専務理事、慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授
石戸奈々子    DiTT事務局長、NPO法人CANVAS理事長
*敬称略




  DiTTシンポジウム「AI時代の教育を考える」シリーズの第2弾とし、教材開発を行っている企業やAI活用を行う学習塾の有識者9名の方々にお集まりいただき「AI時代の教育を考える~AI活用の学習塾」について活発な意見交換を行った。



  シンポジウム前半には、各社の事例をご紹介いただいた。AIを使って子どもたちにアダプティブラーニングサービスを提供するatama plus株式会社COOの中下真氏は、AI技術の活用により、生徒一人ひとりの「つまづき」を分析し、個々に合った学習を提供できると語り、従来から重視されている基礎学力の習得時間を最短化し、21世紀に必要な「社会で生きる力」を育む必要性を訴えた。次に、Z会の塾部門を運営している株式会社Z会エデュースの稲葉氏にお話いただいた。AIを取り入れながら「自ら調べ、考え、表現する」学習を実践するZ会はatama plus株式会社と協働し、子どもたち一人ひとり即した最適な教育を提供する。情報の伝達、学習内容はAI教材の力を借り、生徒の目標設定やモチベーション維持等AIに代替できない力を講師が担いながら教室を運営している様子をご説明いただいた。

 

  学習塾運営や学習教材の開発を行う株式会社メイツ代表の遠藤氏は、ウェブリオ株式会社と協働し、AI技術を活用したスピーキングとライティングの学習塾向け英検アプリを開発している。スピーキングにおいては、AIの活用により、従来の指導では意識できなかった発音などの課題が明確になり、英検受験に関して高い合格率が示され、効果が表れている と語った。

 

  世界初の人工知能型教材「Qubena(キュビナ)」の開発を行う株式会社COMPASS代表の神野氏は、AI教材活用により生徒の理解度に合わせた授業が可能になり、余剰時間の創出や学習成果の向上にも繋がったと説明した。最先端技術を用いながら、アダプティブラーニングや子どもたちの「やりたい」を「できる」に代える学習を提供したいと神野氏は語った。また、Qubenaなど最新テクノロジーを積極的に利用する学習塾UNIVERSCHOOL代表の湯浅氏は、一人一人の最適な学習を提供するためにAI教材の導入は非常に効果的だと語った。先生の役割が「ティーチング」より「コーチング」へとシフトしたことにより、先生と生徒のコミュニケーションの時間と質が向上したと説明した。

 

  最後に、学校法人河合塾の河合氏に、株式会社COMPASSと共同開発したアダプティブラーニング型AI教材についてご説明いただいた。これまで、Qubenaでカバーしていなかった高等学校数学を対象に開発は進められており、集団授業において講師だけでは解決しきれない課題に対してAI教材の活用は有能であり、以前と比べ生徒主体の学びを提供することができるようになったと語った。



  シンポジウム後半のパネルディスカッションでは、AI教材の導入により学習効果が向上したという意見で一致した一方、学習態度が良くなったかという質問については、導入の仕方には注意が必要であるという意見も挙がった。数学以外の教科への導入も示唆された。また、AI教材がすべての子ども・生徒に効果的であるかといった質問に対しては、AIがモチベーターとなるのではなく、学習環境や生徒自身のやる気を持つことが大切であることが確認された。議論の中心となったのは、先生の役割の変化についてだ。AIの活用により知識や情報を伝達するティーチャーとしての役割からジェネレーターとして大きく役割が変わる、という意見が多く挙がった。最後に、「AIを教育に導入するにあたってのメリットは?」という問い対し、これまでの基礎学力の習得にかかる時間がAI技術の力で効率化し、21世紀型スキルを始めとする新しい学びやこれからを生きる力を育んでいきたいという意見で合致し、シンポジウムを終えた。

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