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2018年02月28日開催

デジタル教科書教材協議会シンポジウム 「教育利用に関する著作権の動向」



■日時:2018年2月28日(水)13:30~15:00 

■会場:慶応義塾大学三田キャンパス 東館8階ホール

シンポジウム参加者 :
石橋通宏       参議院議員/超党派「ICT教育促進議連」事務局長
菊池尚人       一般社団法人融合研究所 代表理事
工藤紗貴子    株式会社文理編集企画室/学研教育総合研究所委嘱研究員
小林圭一郎    株式会社ベネッセコーポレーション コンプライアンス本部
                   著作権担当部長
瀬尾太一       教育利用に関する著作権等管理協議会座長
吉田素文       国際医療福祉大学医学部 副医学部長・医学科長
中村伊知哉    DiTT専務理事、慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授
石戸奈々子    DiTT事務局長、NPO法人CANVAS理事長
*敬称略




  「教育利用に関する著作権の動向」と題し、教育利用の著作権問題に精通した総勢8名の有識者にお集まりいただき、活発な意見交換を行った。デジタル教科書の制度化や著作権論議が本格化する中、2月23日に「デジタル教科書」を正式な教科書と位置づける学校教育法等改正案が閣議決定された。これらを踏まえ、石戸奈々子DiTT事務局長はDiTTアピール(①「デジタル教科書」を正式な教科書と位置づけるなど教育情報化を推進する学校教育法及び著作権法の改正案の閣議決定・国会提出を評価し、歓迎致します。②法案の早期成立と円滑な施行を求めます。③並行して超党派の国会議員からなる「教育における情報通信の利活用促進をめざす議員連盟」が策定している「学校教育情報化推進法案」は、教育情報化全般を後押しするものであり、その国会提出・成立を求めます。)を発表した。



  初シンポジウム前半は3名の登壇者にお話いただいた。初めに、学校教育における情報化の推進法案について、参議院議員/超党派「ICT教育促進議連」事務局長の石橋通宏氏にご説明いただいた。自治体間格差の解消、財政措置と予算執行の促進、導入コストの低廉化、デジタル教科書の正規化、教員の教える力の育成支援など多くの問題が山積する中、超党派の国会議員で構成される「教育における情報通信(ICT)の利活用促進をめざす議員連盟」が策定する推進法案策定について、法律案の概要を説明いただいた。石橋氏は「国会への提出は今年度中に行う予定。閣法と我々の議員立法のセットで、なんとしてでも国会で成立させたい。」と力強く語った。



  次に、教育利用に関する著作権等管理協議会座長の瀬尾太一氏より、著作権法改正に伴う制度構築についてご説明いただいた。「教育利用に関する著作権等管理協議会」は、教育分野での著作物の円滑な利用と著作権者の権利保護を両立させ、バランスの良い制度設計を構築するために設立された。37団体が加盟する本協議会は、「ICT教育を推進することに、全ての団体が合意し、推進しようと強く決意している。」と瀬尾氏は強調し、権利者が社会利益に向かって動き出した大きな転換期の中、本協議会は教育制度と教育現場の実態を適切に把握し、制度の構築に尽力していることをアピールした。教育業界とともに、次のAI時代の教育をきちんと考えて進めていくのが我々権利者の願いでもあると瀬尾氏の見解が語られた。



  次に、教育にかかわる著作権海外調査についての報告を菊池尚人DiTT理事より説明いただいた。2017年10月より文化庁からの委託を受け、DiTTは、海外6か国でのヒアリング調査・文献調査および研究に協業することになった。この海外調査によれば、デジタル教育に関しての著作物のライセンス補償金の実施を進めており、多くの国は権利者と利用者の交渉により値段が決まっている事例がみられる。調査結果を踏まえ、今後のDITTの活動として菊池氏は1)初等、中等教育の補償金分配団体の設立、2)ライセンス集中管理を推進、3)クラウドサービスの構築を目指すと説明した。




  シンポジウムの後半によるパネルディスカッションでは、著作権法第33条と第35条の整理をした上で、補償金算定の考え方についてそれぞれの立場から意見交換を行った。まずは議論が促進されるような具体的な数字を出し、教科書、教材の適正な流通、正当な対価の支払い、簡便な処理が満たされるような環境整備を構築する必要性が語られた。2018年が教育情報化にとって大きな1年となることが期待され、中村伊知哉DiTT 専務理事は「2つの法案が提出されきちんと可決成立されるためには、民間サイドからの支援や要望等、熱を伝えていく必要がある」とシンポジウムを締めくくった。





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